エコツミさん 2006年12月・インタビュー
―ワンマンライブ「文音色」、お疲れ様でした。

ありがとうございました。


―8月から続けてきた音楽と朗読とのコラボレーションが一つの形になったように思います。

そうですね。音楽と朗読のコラボレーションというのは想像に無かったんですけど、それが今回現代朗読協会さんのご協力を得て、 やっと私の中で一つの形になったかなという気はします。


―ステージでは、朗読の方と背中合わせになって歌う場面、後ろを向いて座って歌う場面など、様々な表現方法がありましたね。

―そうですね。ちょっと舞台チックだったかなというのはあります。私はちろん朗読の方も、動く中で聴かせるというのは すごく素敵だし、一番難しい、そして面白い方法だと思っているんですけど、私は正直まだそこまでだめだなというのが自分の中で あったりするので、視覚、聴覚など五感を使って楽しめるのであれば、色々と仕掛けはしたいなと思います。今回背中合わせにやったのは 「薤露行」という夏目漱石氏の作品なんですけれども、それは私と朗読の春日玲ちゃんが同じ立場だったので、背中合わせになること でそれが少しでも分かりやすくなるかなと思いました。もともとが少し難しい作品だったので、そこのところは気をつけようと思いました。 後ろ向きに座って歌っていたのは「高野聖」という作品なんですけれども、出てくる人がなんかちょっと...鬼じゃないんですけど、 人間なんですけど何か不思議な力を持った女の人がいて、それを歌ったので、あえてその人のポジション的なところで、 歌の上でもちょっとしゃがんで、あまり声を張らずに歌うことを心がけました。


―そして圧巻だったのが、「みだれ髪」や「曽根崎心中」です。 私は「みだれ髪」が今回一番好きだったんですけど、歌と朗読の対決みたいな感じがした、というのがありまして、あれは本当に 言い得て妙な感想だなと思ったんですけど、そういう所は確かにあって。やっぱり今回朗読が5人いたので、人によって全然読み方 が違うし、もちろん読まれている短歌自体が違うので、もちろん違う読み方になるんですけど、一人一人やっぱり朗読との距離感 みたいなものがピアノみたいに違うので、それはやっていて私もつられました。やっぱり本番ステージに上がると変わるので、 じゃあその中で私はどう歌っていこうというのは私も考えさせられました。だけどこう、またここだけの話なんですが、みんな 順番を当日まで間違えていて、大騒ぎだったんですよ。(笑) みんな自分の人の前で覚えていたりするので、その人が間違えると、 あれ?みたいな感じで分からなくなったりするんですよ。


―「曽根崎心中」では、皆さん一斉に読んでらっしゃいましたね。

はい。声が重なるというのは、意味とかを超えて、それだけですごくエネルギーを持っているものだと私は思っていて。 一人で合唱は出来ないじゃないですか。声がたくさんあるというのはそれだけで、もちろん内容もあるんですけど、 内容を超えた強さみたいなものがありました。もちろん今回、「曽根崎心中」は水城さんがああいうアレンジをしてくださったんですが、 声自体の強さが伝わったらいいなとは思いました。もともとその「曽根崎心中」というのも登場人物の力があって、当時は親が この人と結婚しなさいと言ったとするじゃないですか。でもその時に、別に結婚とかしてるわけでもない時に、この人の所へ行くわ、 と言ったら、それだけで罪になるという時代だったので、反対されたら余計好きになるというのもあるんですが、すごく恋にかける パワー...死してなおじゃないですけど、すごく、お父さんお母さんごめんなさい、でもそれでも...という中で選んでいくパワーという のはやっぱり今だと想像つかないじゃないですか。今だと、じゃあしょうがないな、という話になりますから。 多少トラブルはあるにしても。でも当時それだけにかけられたパワーがあって。それが声が重なることで、少しでも表現できたら と思いました。


―聴いていまして、皆さんの声が重なることで、それ自体が一つのメロディーのように思いました。

どうしても綺麗なものを作りたくなってしまうところがあって、もちろん私は「みだれ髪」の綺麗さもすごく好きなんですけど、 全部それだとつまらないなというのがありまして、綺麗かそうでないかといったら綺麗ではないと思うんですけど、 ハモリがどうこうとかではないですが。 でも、それはそれで一つの作品として受け止めてもらえたらすごく嬉しいなと思います。


―「ブゥルース」のような面白い表現もされていましたね。

そうなんですよ。朗読ってみんな真面目なイメージが...もちろん真面目なんですけどね。高尚に読まなければいけないかというと そうではなくて...もちろん色々な朗読をされている方がいますけど。私は結構堅苦しいのが好きなんですよ。でももっと肩の力を 抜いて聴けるところがあってもいいかなと思いました。


―「桜の樹の下には屍体が埋まっている」という言葉が好きだと書いてらっしゃいましたね。

作品自体ももちろんそうですけど、書いた方も昔から好きで、彼の作品自体にある、人間の本当にあるもの...狂っちゃえば楽なんですけど、 狂えない、といったような。ぎりぎり現実社会に足を入れているのに、片方の足をどこに置いていいか分からない人間の心がよく出ている と思います。 今回はそれを、原作は男性の言葉なんですけど、そこで俺は俺は、となっているところを私は、 と女性の言葉に変えてもらったところ、すごく肉々しく...リアルになってきて、現代小説ではないのですが、現代にも通じるところが ありまして。 昔この人の作品を読んで、これ良かったよね、という枠に収まりきらないものをこの作品が持っていると思います。私にはいつも、 この作品はリアルなんですよ。同時代の人くらいに。それはとても良かったなと思います。


―第二幕のライブにも、朗読の方々はステージに登場されましたね。

そうなんですよ。皆さんと楽しくやることができました。


―「鈴木さん」はどんどん進化してゆきますね。

「鈴木さん」はやっていてとても楽しいんですよ。今度「鈴木さん」をやる時には、客席の皆さんに手を振ってもらおうと思っているので、 皆さん覚悟していてください。(笑)


―「誰そ彼は」も初披露されましたね。

私が結構前から暖めていたんですけれども...「きみを忘れない」という曲を聴いたことがある方もいるかと思いますけど、 あの曲の前に書いて、放置プレイだったんですが。(笑) 「誰ぞ彼は」という「黄昏」の語源になった言葉なんですけども、その言葉を 意識しすぎたかな、という感が無きにしもあらずだったので、ああいう感じでもう少し分かりやすく、別に語源のことも考えずに あのテーマで書いてみようかと思って書いたのが「きみを忘れない」なんですよ。それなので本当に寝かせていて、 今回トリ音ちゃんと話していて、ぜひやってください、というような運びになったんですけども、すごく好きで。 自分の曲なのに感動できますかと。いい曲だと思います。


―「きみの笑顔」も新しい形でやってらっしゃいますね。

そうなんですよ。ちょっといろいろあったんですが、あの曲はどうしても...他の曲は結構誰かに向けての曲が多かったんですけれども、 「きみの笑顔」に関しては、私が言ってもらいたいことを歌詞にした曲だったので、どうしても歌いたかったんですよ。何が何でも 歌いたいと、ずっと虎視眈々と狙っていて、メロディーをつけたものを醍醐尚味さんにちょっといじってもらい、コードをつけて もらって完成しました。今回あれをやって、何人かの方が連絡をくださいまして、「泣きました」ですとか、「アル中だったのですが、あれを聴いて 以来、一滴もお酒を飲んでません。」とか言葉をいただきまして、私がそれに感動して。自分が言ってほしいことを、他にも言ってもらって 嬉しい人たちがいるんだな、ということが分かりました。私は結構斜に構えて立っている節があるので、ブログにも書いているんですけど、 「止まない雨は無い」みたいなのがすごく嫌いなんですよ。そんなことよりも今雨が降っていることがしんどいんだ、ということを 思ってしまうタイプなので、面倒臭い女だなと言われるタイプの人間なんですけれども、(笑) 人間は一人だというのはすごく 思うんですよ。そう思ってしまうんですけど、同じことに共感してくれる、言葉に心震わせてくれる人がいるというのは本当に 嬉しくてですね、いろいろ語ってゆきたいなと思っています。


―朗読の方々との共演といいますと、12月16日の「サウンドスケッチ」にも出演されますね。

そうなんですよ。今、通しリハをやっているんですけれども、全部水城さんのオリジナルということで、水城さん独特の世界が溢れて いると思います。私はその作品の中から3作品に登場させていただくのですが、やっぱりその作品があることで皆が世界に入って行き やすいので、それは歌だけよりもすごく聴きやすいんじゃないかと思います。また水城さんなのでいろいろ仕掛けてくるとは思いますが、 その辺も楽しみにしてもらいたいと思います。



―ここで、恒例の楽曲紹介です。今回お聞きしますのは、まず「ヒガンバナ」です。

はい、「ヒガンバナ」は作詞、伊藤さやかさん、作曲、水城雄さんの曲なんですけれど、今言いました伊藤さやかさんが歌っているCD をいただきまして、すごく歌いたいとわがままを言わせていただいて、歌わせていただいているんですが。(笑) 先日ブログにも 書いたのですが、伊藤さやかさんと私がすごく似ているところがありまして、人生的にも似てるところが...ミュージカルをやっている ところですとか。私はすごく伊藤さやかさんの歌詞が好きですし、歌っていてすごく心地良いなと思います。伊藤さやかさんと 私はすごく声質が似ているので、ハモったりしている時は、どこかで遺伝子が絡まっているんじゃないかというくらいなので、 一緒にやる日を楽しみに待っていただきたいと思います。


―続いて「ダルマさんが転んだ」ですが、少し変わった盛り上がり方をする曲ですね。

変わってるんですか? 自分では気にせずにやっているんですけど、(笑) エコツミフリークにはもうおなじみになっているはずです。 まずお客さんに「ダルマさんが転んだ」で2回手拍子をしていただいて、客席の皆さんが一つになりはじめたら始まるという曲で ございます。(笑) あれは私が歌詞を書いて、水城さんにお渡ししたんですけど、私が歌詞を渡したのは始めてだったかな... すごく水城さんらしい曲だと思います。アドリブを入れる余白がすごく作りやすい曲なので、私や楽器陣がすごく好きで、みんなが アドリブをやっている時は客のように聴いていますからね。(笑)


―実際客席の方にも下りてらっしゃいましたよね。(笑)

そうそう、9月1日のライブでは客席に乱入してみたんですけど、それはお客さんとして水城さんのピアノを見たかったことと、 その後「ダルマさんが転んだ」と言いながら一人ダルマさんが転んだをやりながらステージに戻りました。いつかやりたいと 思っているのが、本当にダンサーを乱入させて、ダルマさんが転んだをやたら格好良くやってほしいなと思います。すごく格好いい 日なのに、ダルマさんが転んだをやりたいという密かな試みがあるんですが、知り合いのダンサーにも誰一人この話はしていません。(笑)  いつの日か広いスペースがある所でできたらと思います。



―それでは、少し早いですが一年を振り返ってゆきたいと思います。まず、2月にはエコツミとして初めてのCD「さくらの日」が リリースされましたね。

そうなんですよ。今では着うたも全機種に対応していますし、皆さんそろそろ桜くる頃なので、懐かしいと思いながら...私が既に 懐かしいなという感があるんですけど、(笑) 聴いていただきたいと思います。もう今とは全然違うので。ちょうどレコーディングが 1年と少し前にいろいろ考えながら...感慨深く思っています。


―「さくらの日」リリースに合わせて、「さくらフェスティバル」などにも出演されました。

そうですね。色々な方との出会いも、CDを出したことによって世界が広がりました。音楽関係ではない方も...さくらフェスティバルは 渋谷区だったんですけど、音楽関係ではない方の意見もすごく勉強になりましたし。どうしても音楽の人達だけで集まると技術論に 陥りがちなところがありまして、どう捻るかということや、どうここを隠しながら、ということがあるんですけども、色々な方と混ざって イベントをやることで、勉強になることがありました。いまだに...ってまだ1年経っていないですけど、(笑) 仲がいい方もいたりして、 すごく嬉しいです。 ―そして4月には、花やしきでのワンマンライブがありました。

ありました! ここで聴くことに特化したライブをやりまして、次の8月の五感刺激ライブにつなげていったのですが、ライブハウスでは ないところでやったので、来ていただいた方には音響の面でご迷惑をおかけしたかもしれませんが、やっている側は終わったらジェット コースターというような、すごく楽しい企画だったと思います。(笑) もう打ち合わせに来ては、乗らしてくださいみたいな感じで、 散々遊ばせてもらった企画だったと思います。皆さん、花やしきはライブが無くても本当に楽しいところなので、ぜひ行ってみて ください。


―7月には、エコツミ第一楽章の終わりを宣言されましたね。

そうなんですよ。色々ありまして、2月にCDを出したばかりなのに第一楽章が終わって驚いた方もたくさんいらっしゃると思いますし、 私も驚いたんですけど、(笑) 最近思うのが、自分が楽しくないのはもちろん嫌ですけど、自分が楽しいところでやっていても意味が 無いな、と。皆に楽しい場所があって、第一楽章に関してはやはり二人が両方気持ちいい場所がずれていたので、それは二人が両方 気持ちいい場所ができるところだけやろうね、という形に今思うとなっていたと思います。


―そして8月には、「五感刺激ライブ」でエコツミの第二楽章が始まりましたね。

はい。あの時のメンバーは本当に大好きなメンバーが...もちろんみんな好きなんですけど、特にあの時のメンバーは大好きで...実は本当に 急な企画だったんですよ。こういう風にしようかなと思いながら、気付いたら直前になっていまして、急遽お願いして皆さん快く引き受けて くださって、稽古場もリハーサルも楽しかったし、本番も楽しかったし打ち上げも楽しかったし、散々迷惑かけながら私が一番楽しかった というライブだったと思います。今まで組んだことがない方たちばかりだったので、本当に音楽的な意味でも勉強になりました。


―現代朗読協会のイベントにもよく出演されていますね。

はい、お世話になっております。私がもともとミュージカル出身なのもあるんですけど、物語と歌という組み合わせがすごく好きなので、 今回それを楽しい場所でやらせていただいています。


―その朗読とコラボレーションもありますが、第二楽章はステージ全体を通した表現が重視されているように思います。

もともとそうだったんですけど、(笑) それがうまく表現できていなかったというのはあると思います。毎回テーマを決めてライブを していたのはあったんですけど、それがどうやったら伝わるかというのが洗練されてきて、伝わりはじめたのかな、という気はしてい ます。楽しくてですね、どうしてもこう、非日常感というのは出してゆきたいんですよ。来て良かった、楽しかったと、「ハレの日」感が 出たらと思います。私はその日をハレの日にするためにできることは何でもしようと思っています。


―この時期に初登場したのが即興詞ですね。

はい、9月1日に「晴れたら空に豆まいて」という代官山のライブハウスの時からやりました。私がやりたいことと私ができることの 枠が重なっている部分から、何ができるのかと考えてみたんですけど、私は言葉力というのが強みだと思っているんですが、言葉を 瞬発力としてできるかということを、自分自身を試す意味でもやらせていただいています。即興詞というのは、お客さんからお題を いただいてその場でやるんですけど、毎回聞かれるんですが、お客さんにも誰にも仕込んでないですし、私と水城さんも全く打ち合わせ をしないんです。なので、本当に即興です!


―そして10月には「エコツミのエロ」というタイトルのライブも行いましたね。

そうなんですよ。(笑) 色々なところに出していた私のヌード未満の写真があったんですけども、あれは女の子の友達に大騒ぎしながら 撮ってもらったんですよ。どれがエロいかなんて分からないじゃないですか。なので、向きを変えたりとか、ポーズを変えたりしながら 何ショットも撮って、最後はもう分からなくなって、どうする?どうする?と、シャワー浴びて凍えながら夜中に撮ったりしましたけども、 その甲斐あってか写真は好評をいただきまして、ライブは全然脱がなかったので怒られたんですけど、脱げるわけが無いじゃないです か。(笑) 当日は裸エプロンって言われたんですけど、それはできなかったので普通にエプロンをしまして、最後にエロは何だといったら 制服かなと思いまして、年甲斐もなく制服を着させていただきました。


―そして11月のワンマンライブを経まして、今年最後のライブは12月30日の「忘れてしまいたい、ライブ」ですね。

そうなんですよ。この土日に久し振りにエコツミのコエをやりまして、そこで何をやるか言うのですが、実は何と、初めての弾き語り ライブをやります。すごくドキドキしてるんですけど...弾きながら家では歌っているんですが、弾き語りする気が無いと、途中で 面倒臭くてやめてしまうんですよ、ピアノを。曲の前奏とかはピアノから入っているんですけど、途中から私は歌しか歌えないという のが出てきて。ピアノを弾くのが好きか嫌いかといったら好きではないんですよ。上手い人が弾いているのを聴いている方が基本的に 好きなので、今までやらなかったんですが、思うところもあり、天窓の吉川店長にもやればいいじゃん、と軽いノリで言われたので、 じゃあ軽いノリでやっちゃおうかなと思いまして、12月30日は皆さんお酒を飲んでらっしゃると思いますので、流れの中でさりげなく やってしまおうかという爆弾企画なので、私は多分、心の優しい方が客席にいればいるほど、私のピアノの腕が頑張れると思うので、 ぜひとも皆さんに本気で来ていただきたいと思います。家の片付けなんて12月31日にやればいいですから、(笑) 30日は高田馬場の 四谷天窓.comfortに駆けつけていただきたいと思います。そしてこの日、重大発表があるので、それはそれで来た方がいいと思います。


―最後になりましたが、来年はエコツミの第二楽章をどのように進めてゆきたいですか?

私はどうしても今、センターが狭いなと思っているので、もっと色々な方に来ていただきたいなと思います。実は路上ライブも 企画していまして、音楽が好きな方に聴いていただくのももちろん嬉しいんですけど、全然音楽とか知らないし、最近のTOP10とか もう自分の世代じゃないし...という方にも聴いていただきたいですし、それが例えばお金にならなくても聴いていただきたいと思います。 そして新曲も配信したいと思いますので、「さくらの日」から1年経つとこうも人間変わるのか、というところで...それは多分まだ パッケージにはしないので、春になる前に...1月くらいには聴けると思います。色々な面があるんだなということを知っていただければ と思います。


―今回のインタビューはこれで終了いたします。ありがとうございました。

ありがとうございました。

(2006年12月某日、都内某所にて)


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