エコツミ2006年締めくくりインタビュー
―ワンマンライブ「文音色」、お疲れ様でした。

ありがとうございました!


―8月から続けてきた音楽と朗読とのコラボレーションが一つの形になったように思います。

はい。音楽と朗読のコラボレーションというのはずっとやってみたかったんですけれど、それが今回現代朗読協会さんのご協力を得て、 やっと私の中で一つの形になったかなという気がしています。


―ステージでは、朗読の方と背中合わせになって歌う場面、後ろを向いて座って歌う場面など、様々な表現方法がありましたね。

そうですね。ちょっと舞台っぽかったかなとも思っています。私は歌も朗読も、シンプルに動かない中で聴かせる、聴覚だけで 全感覚を刺激するということが、一番難しくて面白くて、素敵だと思うのですが、自分自身、正直まだそこまで深みがないなという のがあったので、視覚など五感を使って楽しめるのであれば、それはそれでよいかなと色々と仕掛けさせて頂きました。ちなみに今回 背中合わせにやったのは「薤露行」という夏目漱石氏の作品なんですけれども、それは私と朗読の春日玲ちゃんが同じ登場人物の立場 だったので、少しでも分かりやすくなるかなと思って演出しました。えーと、後ろ向きに座って歌っていたのは「高野聖」という 泉鏡花氏作品です。この作品は出てくる女性がなんだかちょっと...鬼じゃないんですけど、人間なんですが不思議な力を持った 女性なんです。私はその立場で歌ったので、ちょっと妖艶さがでたらよいな、と。


―そして圧巻だったのが、「みだれ髪」や「曽根崎心中」です。

実は私は「みだれ髪」が今回一番好きだったんです。アンケートで歌と朗読のかけあいみたいだったという言葉を頂いたんですが、 まさにそんな感じ。本当に言い得て妙でした。朗読者が5人いたので、もちろん読まれている短歌自体が違うのですが、人によって 全然読み方が違うんですよ。一人一人言葉との距離感みたいなものが違うんです。それはやっていて私にとっても刺激的です。 それぞれやっぱりリハと本番も変わるので、こうきたか!じゃあこう歌っていこうというのはありました。実はここだけの話なんですが、 直前まで順番を間違えて大騒ぎだったんですよ。(笑) 


―「曽根崎心中」では、皆さん一斉に読んでらっしゃいましたね。

はい。声が重なるというのは、意味を超えて、それだけですごくエネルギーを持っているものだと思っているんです。もちろん内容の パワーもあるんですけど、言葉を超えた強さみたいなものを表現したかったんですよ。今回「曽根崎心中」は水城さんがアレンジ、 演出をしてくださったんですが、もともとその「曽根崎心中」という作品の登場人物はものすごくパワフルなんです。当時、親が この人と結婚しなさいと言ったとしますよね。でもその時に、違う人が好き、と言ったら、それだけで姦通罪になるという時代 だったんです。ロミオとジュリエットじゃないですけれど、反対されたら余計好きになるところもあるんでしょうけど。ともかく、 すごく恋にかけるパワー...死してなおじゃないですけど、すごく強いんです。死んでもいいから添い遂げようとする。そのパワー というのはやっぱり今だと想像つかないですよね。かけおちしたからって、多少トラブルはあるにしても死刑になったりはしない。 そんなパワーを、声が重なることで、少しでも表現できたらと思いました。


―聴いていまして、皆さんの声が重なることで、それ自体が一つのメロディーのように思いました。

おお、嬉しいなぁ。作品を作ると、どうしても綺麗なものを作りたくなってしまうところがあるんですよ。でも全部それだと つまらないなぁと。「曽根崎心中」が綺麗かそうでないかといったら綺麗ではないと思うんですけど、それもありだと感じているんです。 それでもそう受け止めてくださったのはなんだか嬉しいです。


―「ブゥルース」のような面白い表現もされていましたね。

楽しかったですー。朗読って高尚に読まなければいけない気がしてしまうんですが、好き勝手にやらせて頂きました(笑)いや、 もちろん色々なおもしろい朗読をされている方がいらっしゃいますけれど。でも実は私は結構堅苦しいのが好きなんですよ。 でももっと肩の力を抜いて聴けるところがあってもいいかなと。


―「桜の樹の下には屍体が埋まっている」という言葉が好きだと書いてらっしゃいましたね。

はい。作品自体ももちろんそうですけど、作者の梶井基次郎氏も昔から好きなんです。彼の作品に感じる、人間の本性にあるもの... 狂っちゃえば楽なのに狂えない、といったような・・・。現実社会にぎりぎり片足を入れているのに、もう片方の足をどこに置いて いいか分からないという感じの人間の心理を感じるんです。原作では男性の言葉で書かれているんですが、そこで「俺は」という台詞を 「私は」と女性の言葉に置き換えて読んでもらいました。そうしたところ、すごく肉々しく...リアルになってきて、わくわくしちゃい ました。もちろん所謂巨匠と言われいる方の作品はそうなのですが、特に彼の作品の人間心理は現代にも通じるところがあると感じる ので、昔の人の話を読んでいるとは思えないんです。私にはいつも、この作品はリアルなんです。


―第二幕のライブにも、朗読の方々はステージに登場されましたね。

そうなんですよ。せっかくなので(笑)


―「鈴木さん」はどんどん進化してゆきますね。

もー、「鈴木さん」はやっていてとても楽しいです。今度「鈴木さん」をやる時には、フリをつけて、客席の皆さんに一緒にやって もらおうと思っているので、覚悟していてください。(笑)


―「誰そ彼は」も初披露されましたね。

結構前から暖めていたんです。「きみを忘れない」という曲を聴いたことがある方もいるかと思いますが、実はあの曲の前にすでに 書いて、放置プレイだったんです。(笑) 元々「誰ぞ彼は」という言葉は「黄昏」の語源になった言葉なんですけれど、それに刺激を 受けて書いた曲です。けれども、その言葉を意識しすぎたかな、という感が無きにしもあらずだったので、ちょっと変形させて 「きみを忘れない」の形にしてみました。それなので、「きみを忘れない」はもう少し分かりやすく、語源のことも考えずに 「誰ぞ彼は」の内容をモチーフにできたんです。そして「誰ぞ彼は」は寝かせていたんですが、今回トリ音ちゃんとのコラボでついに 日の目をみました。自分の曲なのに感動します(笑)大好きな一曲です。


―「きみの笑顔」も新しい形でやってらっしゃいますね。

はい。ちょっといろいろあったんですが、あの曲はどうしてもやりたくって。他の曲は結構誰かに向けてのメッセージが多かったん ですけれども、「きみの笑顔」に関しては、私が言ってもらいたいことを歌詞にした曲なんです。それでどうしても歌いたかった。 それなのでいっそ!と自分でメロディーをつけたものを醍醐尚味さんにコードをつけてもらって完成しました。実は今回この曲をやって、 何人かの方が連絡をくださったんです。その方たちの言葉に私が感動してしまったくらいなんですが、自分が言ってほしいことを、 他にも言ってほしい人たちがいるんだな、ということを感じてとても嬉しかった。私は斜に構えている節があるんですが...... ブログにも書いているんですけど、「止まない雨は無い」みたいなのがすごく嫌いなんですよ。そんなことよりも今雨が降っている ことがしんどいんだ!ということを思ってしまう面倒臭いタイプ (笑) そんな私は人間は一人だなぁと、よく思うんです。そう思って しまうんですけど、でも同じことに共感してくれる、言葉に心震わせてくれる人がいるというのはその分本当に嬉しいんです。


―朗読の方々との共演といいますと、12月16日の「サウンドスケッチ」にも出演されましたね。

そうなんですよ。全部水城さんのオリジナルだったので、水城さん独特の世界が溢れていたと思います。私はその作品の中から3作品 に登場させて頂きました。やっぱりその作品があることで皆が世界に入って行きやすいので、歌だけよりものすごく聴きやすかった んじゃないかと思います。


―ここで、恒例の楽曲紹介です。今回お聞きしますのは、まず「ヒガンバナ」です。

「ヒガンバナ」は作詞、伊藤さやかさん、作曲、水城雄さんの曲なんですけれど、このおふたりのOuefというユニットのCD を いただいたんです。それで一聴き惚れ。(笑)わがままを言わせていただいて、歌わせていただいています。 先日ブログにも 書いたのですが、伊藤さやかさんと私がすごく似ているところがあるんです。だからかな、すごく伊藤さやかさんの歌詞が好きですし、 歌っていてすごく心地良いなと思います。実は声質もかなり似ているので、ハモったりしている時は、どこかで遺伝子が絡まって いるんじゃないかというくらい。(笑)


―続いて「ダルマさんが転んだ」ですが、少し変わった盛り上がり方をする曲ですね。

変わってるんですか? 自分では気にせずにやっているんですけど、(笑) エコツミフリークにはもうおなじみになっているはずです。 まずお客さんに「ダルマさんが転んだ」で2回手拍子をしていただいて、客席の皆さんが一つになりはじめたら始まるという曲で ございます。(笑) あれは私が先に歌詞を書いて、水城さんにお渡ししたんですけど・・・私が歌詞を渡したのは始めてだったかな... すごく水城さんらしい曲だと思います。この曲はアドリブを入れる余白がすごく作りやすいんですが、私は楽器陣がすごく好きなので、 みんながアドリブをやっている時は客のように聴いています。(笑)


―実際客席の方にも下りてらっしゃいましたよね。(笑)

そうそう、9月1日のライブでは客席に乱入してみたんですけど、それはお客さんとして水城さんのピアノを見たかったことと、 その後「ダルマさんが転んだ」と言いながら一人ダルマさんが転んだをやりながらステージに戻りたかったから。いつかやりたいと 思っているのが、本当にダンサーを乱入させて、ダルマさんが転んだをやたら格好良くやってほしいなと(笑)すごく格好いい人なのに、 ダルマさんが転んだかよ?!みたいな(笑)いつの日か広いスペースがある所でできたらと思います。


―それでは、少し早いですが一年を振り返ってゆきたいと思います。まず、2月にはエコツミとして初めてのCD「さくらの日」が リリースされましたね。

はい。今では着うたも全機種に対応していますし、皆さんそろそろ桜くる頃なので、懐かしいと思いながら...私が既に懐かしいな という感があるんですけど、(笑) 聴いていただきたいと思います。もう今とはかなり全然違うので初めて聴く方は不思議な気分かも。 ちょうどレコーディングが 1年と少し前だったかなぁいろいろ考えると感慨深くなります。


―「さくらの日」リリースに合わせて、「さくらフェスティバル」などにも出演されました。

そうですね。CDを出したことによって色々な方との出会いがあり、世界が広がりました。音楽関係ではない方も...さくらフェスティバル は渋谷区での開催だったんですけれど、所謂音楽関係ではない方の意見もとても参考になりましたし。どうしても音楽の人達だけで 集まると技術論に陥りがちなところがあるんですよね。でも、それだけじゃない色々な方と混ざってイベントをやることで、色々勉強 になったんです。いまだに...ってまだ1年経っていないですけど、(笑) 仲がいい方もいたりして、出演させて頂いて本当によかった です。


―そして4月には、花やしきでのワンマンライブがありました。

ありました! ここで聴くことに特化したライブをやりまして、次の8月の五感刺激ライブにつながってゆくのですよー。花やしきは ライブハウスではないので、来ていただいた方には音響の面でご迷惑をおかけしたかもしれませんが、終演後ジェットコースターに 乗れる!というような、チケット付のすごく楽しい企画だったと思います。(笑) 関係者サイドも、もう打ち合わせに来ては、 乗らせてくださいみたいな感じで、散々楽しみたおした企画だったと思います。皆さん、花やしきはライブが無くても本当に おもしろいところなので、ぜひ行ってみてください!!


―7月には、エコツミ第一楽章の終わりを宣言されましたね。

そうなんですよ。色々ありまして。2月にCDを出したばかりなのに第一楽章が終わって驚いた方もたくさんいらっしゃると思いますし、 私も驚いたんですけど、(笑) 私、自分が楽しくないのはもちろんイヤなんですけれど、自分だけが楽しいところでやっているのは イヤだな、と思うんです。そこにいる皆にとって楽しい場所であれば最高ですよね。インディーズですし、せっかく好きなようにやれる 状況なので、やっぱり金銭的なものを一番に考えるのじゃなくて・・・。いや、もちろん大事ですけれど、お客さんを含め、関わった 人がみんな心地よかったらそれでいいかな、と。第一楽章に関しては二人共が心地よい場所というのがずれてきたので、じゃあ、 お互い無理に合わせるのじゃなくて二人が両方気持ちいい場所ができるところだけやろうね、という形になったんです。今でも よくサポートで入ってもらっています。


―そして8月には、「五感刺激ライブ」でエコツミの第二楽章が始まりましたね。

はい。あの時のメンバーは本当に大好きなで...いや、もちろんどのステージもみんな好きなんですけど、本当に大好きなんですよ!  実は「五感刺激ライブ」、本当に急な企画だったんです。最初は違うものを考えていたのですが、急遽変更で。だからかなり急に、 というか無理にお願いしたんですが、皆さん快く引き受けてくださって、感動ものでした。リハーサルも楽しかったし、本番も もっと楽しかったし、打ち上げも楽しかったし(笑)散々迷惑かけながら私が一番楽しかったんじゃないかな。今まで組んだことが ない方たちばかりだったので、音楽的な意味でもとても勉強になりました。


―現代朗読協会のイベントにもよく出演されていますね。

はい、もうお世話になりっぱなしです。私がもともとミュージカル出身なのもあるんですけれど、物語と歌という組み合わせがすごく 好きなんです。


―その朗読とコラボレーションもありますが、第二楽章はステージ全体を通した表現が重視されているように思います。

もともとそうだったはずなんですけど、(笑) それがうまく表現できていなかったのかもしれません。よく毎回テーマを決めて ライブをしていたのですが、最近の方がそれがどうやったら伝わるかというのが洗練されてきて、伝わりはじめたのかもしれません。 どうしてもこう、非日常感というのは出してゆきたいんですよ。来て良かった、楽しかったと、日常の何かからふっと抜け出れる ような「ハレの日」感が出たらと試行錯誤です。


―この時期に初登場したのが即興詞ですね。

はい、9月1日に「晴れたら空に豆まいて」という代官山のライブハウスの時からです。私がやりたいことと私ができることの枠が 重なっている部分から、何ができるのかと考えてみた時に、自分は言葉力というのが強みだと思っているんです。即興詞は、言葉の 瞬発力を高めてゆく意味でもやらせて頂いています。お客さんからお題をいただいてその場でやるんですけれど、毎回聞かれますが お題は誰にも仕込んでないですし、私と水城さんも全く打ち合わせをしないんです。なので、本当に即興ですよ!


―そして10月には「エコツミのエロ」というタイトルのライブも行いましたね。

そうなんですよ。(笑) 色々なところに出していた私のヌード未満の写真があったんですけれど、あれは女友達に大騒ぎしながら 撮ってもらったんですよ。女同士だし、どんなのがわかりやすくエロいかなんて分からないじゃないですか。なので、散々向き を変えたり、ポーズを変えたりしながら何ショットも撮って、最後はもう分からなくなって(笑)どうする?!どうする?!いや、 水したたらせる?!と、シャワー浴びて水をしたたらせつつ凍えながら夜中に撮ったりしました(笑)その甲斐あってか写真は 好評をいただいたんですが、ライブは全然脱がなかったので怒られました。脱ぐわけが無いじゃないですか。(笑) 当日は 裸エプロンってリクエストがあったんですが、それはナシなので普通にエプロンで登場しました。最後には、エロは何だ?!と 考えた挙句制服で登場。だけど童顔なので、違和感がない。エロくないとの言葉が。(笑)


―そして11月のワンマンライブを経まして、今年最後のライブは12月30日の「忘れてしまいたい、ライブ」ですね。

そうなんですよ。エコツミのコエでお伝えするんですが、実は何と、初めての弾き語りライブをやります。すごくドキドキですよー。 いつも弾きながら家では歌っているんですが、途中でピアノがなくなってしまうんですよ(笑)曲の前奏とかはちゃんとピアノが 入っているんですけど、途中からあれ?歌だけじゃない?!みたいな。正直、ピアノを弾くのが好きか嫌いかといったら そこまで好きではないんですよ。上手い人が弾いているのを聴いている方が基本的に好きなので(笑)今回、思うところがあって、 年末だし軽いノリでやっちゃおうかなと。12月30日なのですが、この日はきっと皆さんお酒を飲んでらっしゃると思いますので、 さりげなくやってしまおうかという爆弾企画です。多分、心の優しい方が客席にいればいるほど、私のピアノは頑張れると思うので、 ぜひとも皆さんに本気で来ていただきたいと思います。家の片付けなんて12月31日にやればいいですから、(笑) 30日は高田馬場の 四谷天窓.comfortに駆けつけて下さい!そしてこの日、重大発表もあるんです!!


―最後になりましたが、来年はエコツミの第二楽章をどのように進めてゆきたいですか?

もっと色々な方に聴いていただきたいと思っています。実は初の路上ライブも企画しているんですよ。ライブハウスに通うような 音楽が好きな方に聴いていただくのももちろん嬉しいんですけれど、全然音楽とか知らないし、最近のTOP10とかもう自分の世代 じゃないし...という方にも聴いていただきたくて。そして新曲も目論んでいます!「さくらの日」からそろそろ1年ですし、成長を 楽しみにしていてください!!


―今回のインタビューはこれで終了いたします。ありがとうございました。

ありがとうございました。


(2006年12月某日、都内某所にて)
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